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めにも、市民が積極的に自分たちの意見を行政に反映させることによって、21世紀を私たちが考えているような世紀にすることができるのではないでしょうか。そのために日頃からボランティア活動を通じて、行政・市民・企業が一緒に考えを出し合い、助け合う気運がとても大切だと思います。
本当に残念なことですが、日頃の私たちのボランティア活動は、神戸の地震やマイアミでのハリケーンなどの危機の場面でしか、どんな活動をしているかということが、一般の人たちの目には見えなくなっています。この見えない部分が、一緒に活動をしていくことで見える部分になっていくと思います。ネットワークを組み、協働していくことで、今度は緊急事態のときにお互い手を取り合って地域を助けることができる、そういった大きなパワーになっていくとも思います。
日本は戦後めざましい復興をつづけてきて、この50年間で経済大国になりましたが、首あった相互扶助の輪、これをもう1度地域に呼び戻しましょう。そのために、若い人たち、子どもたちにボランティア精神というものを知ってもらいましょう。この世紀に私たちは核家族というものをつくってしまいました。世代間も若者、中壮年、お年寄りが細分化されてしまいました。ボランティアという組織を使うことによって、かってあった相互扶助、お互いがお互いを助け合う、細分化されない、地域ぐるみで大きな家族がつくれる、そういった社会ができていくのではないでしょうか。
私は今回で3度目の訪日ですが、そのたびに「日本の土壌は違うんですよ。アメリカはクリスチャンが多いから、あちこちでボランティアもできているんでしょう」という質問を受けます。決してそうではありません。クリスチャンだからといって皆がボランティアをしているわけではありません。ボランティアというのは、まずは自分が楽しんでするもの、お互いが助け合っていることが楽しいことなのです。この精神は、私が考えるには、アメリカは移民の国であるということではないかと思います。お互いが助け合わないと社会は築かれなかった、そういうところに基礎があるのではないかと思います。
古いアメリカの諺に「自分がしたことは必ず返ってくる」というものがあります。最後に、この言葉をボランティアをなさっている皆様に贈ります。本当にありがとうございました。
司会 ありがとうございました。今後のボランティア活動における新たな方式として、大変示唆に富んだお話をいただきました。

 

 

 

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